イノシシ対策について

孫子の兵法でもっとも有名な

「敵を知り、己を知らば、百戦して危うからず」
これはイノシシ対策についても当てはまります。さすが孫子ですね。「敵をよく知り、自分を把握すれば、100回戦っても負けないよ」

このページではこの金言にそって、イノシシ対策を考察してみたいと思います。

敵を知る(=イノシシを知る)

イノシシの好きな食べ物

基本的に何でも食べます。雑食性です。
植物ではタケノコ(主に春)、稲(夏から秋)、ドングリや葛(秋から冬)がメインです。サツマイモ、豆類、栗、柿、なども食べます。動物ではミミズ、昆虫、ネズミ、ヘビなどを食べています。

近年は野山にそれらイノシシの餌が少なくなってきたため、民家や畑などに出没し、肥料(油かすや糠)や生ゴミなどを物色するようになったと考えられています。

イノシシのすみか

低地から低山にかけての広葉樹林、いわゆる里山に住んでいます。ほったらかしにしている畑(耕作放棄地)に住んでいることもあります。

定住している訳ではなく、10km前後を移動することもあり、定住と放浪を繰り返すようです。従って、少し見かけないからと言って安心はできません。

イノシシの行動時間

夜行性と言われていますが、実は決まっているわけではなく、イノシシにとって安全な時間帯はいつかを判断して、その時間に行動するようです。

イノシシの繁殖

イノシシは一夫多妻制だそうです。発情期は秋で、4ヶ月の妊娠期間を経て、春に5頭前後を出産します。うち大人になるのがその半数前後。当然、人間よりも増える数が多いですね。
寿命は10年前後だそうです。

イノシシの性格

実はおとなしいかつ臆病な性格で、人間や家畜を襲ったりすることはありません。しかし、ケガをしているイノシシや、子ども(ウリ坊)をつれているイノシシはナイーブで攻撃的になっているため出会ったら注意しましょう。

「猪突猛進」は臆病さの裏返し、パニックになったときに取る行動だと考えられています。
人の動きを観察する賢さがあり、一度覚えると忘れない記憶力があります。一説にはイノシシは猿なみの賢さがあるとのことです。

イノシシの体格

大人のイノシシで全長1Mから1.5Mです。体重は60kgから大きいモノでは140kg。
140kgといえばお相撲さん並です。あの弾丸型の体型で突撃してきたらたまりませんよね。

イノシシの運動神経

イノシシは助走なしで120cmの柵を跳び越えます。NBAの選手並みのジャンプ力を持っています。
また、20cm以下の隙間があれば、そこをくぐることができます。
そして驚きがそのパワー。鼻で50kgの石を軽々とどけることができます。

イノシシの狙い

イノシシが私たちの近くにやってくるのには理由があります。餌を取るためです。理由がなければわざわざ遠出して、しかも捕獲される危険を冒してまで人里にやってくることはありません。彼らも生きるために必死なのです。

しかし、安全とわかってしまえば、水田などの泥に体をこすりつけて回るいわゆる「ぬたうち」を行うこともあります。「ぬたうち」の目的は体に付いたダニを落とすためと考えられています。

己を知る(=私たちを知る)

イノシシの餌を放置していないか?

自治体のサイトなどで必ず訴えられていることです。ゴミ出しのルールを守らずに、前日の夜などに生ゴミを出したりしていると、それがイノシシのご馳走になります。
同じように畑の肥料などにも気を配る必要があります。

イノシシに餌付けをしていないか?

子どものイノシシに餌をあげたりするのは最もまずいパターンです。人間を恐れなくなり、人里に行けばいいことがあると学習してしまいます。
イノシシに餌付けするのは、「鳩の糞害に苦しんでいる人のことを考えずに公園で鳩にエサを与える人」と同じレベルのことをしていると認識してください。

イノシシの住みやすい環境を提供していないか?

裏山の手入れをせず、雑草が生い茂ったままになっているなんてことはありませんか?それはイノシシの住みかや人里までの進入経路になったりします。

イノシシに遭遇したときはどうしたらよいか?

ただ歩いているだけであれば、放っておくのが一番のようです。何もせずに通り過ぎていくことがほとんどらしいです。
近づいてきたときはゆっくりと後ずさりするのがいいようです。こちらが驚くとイノシシも驚いてパニック、突撃体制に入ってしまうようです。
イノシシの子ども(ウリ坊)を見かけたときも、そっとしておかないといけません。カワイイからと言ってさわったりすると、近くにいる親イノシシを刺激してしまいます。

孤独にイノシシ対策をしていないか?

一人でイノシシ対策をしても、周りの方が上記のことを守ってくれないと効果が半減するでしょう。
みんなで対策を取るにはどうしたらよいか、自治体の寄り合いなどで積極的に意見を交換してください。

百戦する(=イノシシ対策の実践)

イノシシの被害なのか?

足跡や体毛、糞などで確認できます。また水田での「ぬたうち」の後があれば間違いありません。もちろん目撃していればイノシシが犯人である可能性は大ですね。

イノシシ対策の基本を実施

「己を知る」で説明したことを実施します。基本がなっていないと何事も成功しません。

ネット・柵の設置

コストも低く、導入しやすいですが、イノシシの突撃などで破壊されてしまうケースもあるようです。また、中途半端な高さで設置してしまうと飛び越えられたり、くぐられたりでコストが全くの無駄になってしまいます。

イノシシが金網を食いちぎろうとすることもあるそうですので、強度のある柵やネットを設置することをオススメします。中途半端は絶対ダメです。
また、トタン板の柵は強風に弱いという弱点がありますので、強風の地域の方はご注意を。

電気柵の設置

コストはあがりますが、効果は高いでしょう。上の非電気柵と同じで、中途半端な高さ・範囲では効果が半減して導入コストの無駄になります。
導入するならけちらずに徹底的にやりましょう。高さは150cm、くぐれるスペースを10cm以下にするのがベストです。

亥旦停止の導入

イノシシの嗅覚と臆病な性格に着目した商品です。危険であると学習させることができれば成功です。電気柵プラス亥旦停止の組み合わせが現時点では最強といえますが、亥旦停止だけの設置でも効果あります。

ただし、亥旦停止も中途半端な導入では効果がありません。設置間隔(1m)を守って設置することが大切です。
導入事例 お客様のお声

駆除・捕獲

イノシシは「鳥獣保護および狩猟に関する法律」で保護動物に指定されており、捕獲してはなりません。
噛みつかれたりしてケガをしたなど、直接的な被害を受けた場合のみ有害鳥獣として捕獲できるそうです。詳しくは自治体に問い合わせください。
各地で様々な条例がありますので、それに沿った行動を取りましょう。

イノシシ対策のまとめ

以上、駆け足ではありますが、イノシシ対策について考察してみました。
イノシシ対策.comではイノシシを憎き敵として位置づけているわけではありません。彼らと共存できるのがベストだと考えています。

まず私たちにできることから始めるのが一番大切だと思います。

イノシシに大切な農産物をダメにされた時の怒りは察してあまりあります。しかし、彼らは決して人間に迷惑をかけたくてやっているわけではないということも理解してあげてください。

これからのトレンドは自然との共存です。この意見に同意してくださり、イノシシにそっとお帰りいただくグッズ、亥旦停止に興味をもっていただければ幸いです。

参考文献

イノシシから田畑を守る―おもしろ生態とかしこい防ぎ方(Amazon)
なぜイノシシは増え、コウノトリは減ったのか(Amazon)